エンジニアがライブハウスのオーナーに?!~夢を叶えるまでの軌跡~

2025年05月30日

 
こんにちは!
Vitalizeの前原と申します。(以下、前とする)

札幌市にあるライブハウス「SPIRITUAL LOUNGE(スピリチュアルラウンジ)」は、オープン以来、多くの若手アーティストたちにとって最初の舞台として、そしてアーティスト達のたまり場として愛されてきました。
しかし2021年、コロナ禍の影響もあり惜しまれつつ閉店。

それから約4年。SPIRITUAL LOUNGEが、再び動き出します。
なぜ今、SPIRITUAL LOUNGEを再始動させるのか。
ライブハウスに込めた想いとは。
そして、札幌の音楽シーンにどんな風を吹かせたいのか──。

再出発を目前に控えたSPIRITUAL LOUNGEの新代表であり、Vitalize札幌支社長も務める安食さん(以下、安とする)に、SPIRITUAL LOUNGEとの出会い、これからの未来について話を伺いました!


 目次


1.旭川から札幌へ——「SPIRITUAL LOUNGE」との運命の出会い
2.未経験からエンジニアへの転身——コロナ禍の影響で思い出の地が閉店
3.再始動の裏側——今がいちばん大変だけど、いちばん熱い
4.音楽シーンの課題と展望——若者と道外バンドをどう巻き込むか
5.たまり場であり、登竜門でもある場所へ
6.最後に


1.旭川から札幌へ——「SPIRITUAL LOUNGE」との運命の出会い

 

前:本日はよろしくお願いします!
さっそくですが、安食さんが音楽の道を歩み始めたきっかけを教えてください。

安:よろしくお願いします!これは他のインタビューでも少し話したんですけど、1998年5月にX-JAPAN・hideの音楽を初めて聞いた時に衝撃を受け、hideの影響でギターを始めました。
そして、次第に「音楽で成功する」という夢を抱くようになりました!

音楽に出会う前は、スポーツも勉強もそれなりに出来たんですが、あくまでそれなりの範囲で、これっていうアイデンティティ的なものがなかったんです。
そこに対してもの凄くコンプレックスがあったんですよね。

そんな自分が、初めて「これに人生かけたい!」って本気で思えたのが、音楽だったんです。

【過去の記事はこちら】

前:SPIRITUAL LOUNGEとの出会いは?

安:音楽に出会ってからは、高校時代ずっと「バンド、バイト、バンド」みたいな生活を送り、地元である旭川のライブハウスに通い詰めていました。
旭川でバンド活動をしていた頃から、札幌にあるSPIRITUAL LOUNGEの存在は知っていました。
地元の先輩方も札幌遠征の際によく出演していて、高校生の頃から憧れの存在でしたね。




高校卒業後、旭川から札幌へ。
札幌にある音楽系の専門学校に進学しました。
ある日、学校にSPIRITUAL LOUNGEのアルバイト募集の案内が来て、憧れのライブハウスで働けるチャンスだ!と思い、応募。
スタッフとして働き始めたのが、最初の出会いです!

最初は受付やドリンクを作るところから始まりましたが、後にPA(音響)を担当するようになりました。
専門学校でも音響コースで学んでいたので、自然な流れでしたね。

音響の仕事もライブハウスだけではなく、夏フェスや都内のイベントにバンドの専属スタッフとして同行していました。
また、自分のバンドでは札幌の音楽レーベルと契約して、CDを全国流通させたり、年に一度は札幌で大きなイベントを主催したりと、ライブハウスで働くだけじゃなく、バンド活動や音響の仕事も含めて、かなり精力的に動いていました。


2.未経験からエンジニアへの転身——コロナ禍の影響で思い出の地が閉店



前:情熱を持って音楽の道を歩まれていた安食さん——。
しかし、30歳を迎えて音楽の道ではなく、未経験からエンジニアへ転職されたんですよね?

安:そうですね。
30歳を迎えた時に、自分の中で色々と限界を感じてしまったんですよね。

もちろん、体力的にはまだまだ大丈夫だし、40歳くらいまでは余裕で働けるなと思ったんですが、正直ここからワンステップ上にいく想像が全然つかなかったんです。

ライブハウスは素晴らしい場所だし日々の仕事も楽しかったのですが、収入的に安定してるとは言えず、年齢的に転職するなら今しかないと思い、一念発起しエンジニアを目指すことにしました!

前:安食さんが東京でエンジニアとして働いた2年後に、SPIRITUAL LOUNGEはコロナ禍の影響で閉店を余儀なくされたと伺いました。
当時、どのような思いでしたか?

安:当時、ライブハウス業界がかなりのダメージを受けました。
営業できない状態は勿論のこと「ライブハウス = コロナの巣窟」のようなイメージを持つ人も多く、ライブハウスそのものを否定する風潮が生まれてしまいました。

もちろん札幌のライブハウスも例外ではなく、次々に閉店していき、自分が働いていたライブハウスも2021年3月に閉店。 
19歳から31歳までほぼ毎日のようにいた場所だったので、本当に大きな喪失感がありました。
実家より長く過ごしたんじゃないかってくらいの場所だったから。

自分の人生で一番お世話になった方々や、思い入れのある場所が一番大変な時に自分は何も出来なかったと後悔しました。

そんな時に、弊社代表の道畑さんから「安食くんがいつか札幌に戻って復活させればいいじゃん!」という言葉をかけてもらい、必ず札幌に戻ってSPIRITUAL LOUNGEを復活させることを強く誓いました。

その後も、東京でエンジニアとして働きながら、知り合いのバンドの公演に同行して音響を担当したりと、音楽の仕事も変わらず続けていました。エンジニアと音楽、どちらも全力で取り組んでいたんです。

そして、いつか札幌に支社を作りたいっていう想いもあったのですが、当時の自分には経営の知識やスキルがまだまだ足りないなって感じていて。
このまま勢いで立ち上げるよりも、ちゃんと基礎から学んで、しっかり道筋を立ててやっていきたいと思ったのがきっかけで、MBA取得に向けて新しいチャレンジを始めました。

 開発経験者のさらなる挑戦 

前:2年間、働きながら平日の夜や休日を使って大学院に通い、見事MBAを取得されましたよね。
しかも、その合間にも音楽活動を続けていて、社内のメンバーも本当に刺激を受けていました。
さらに安食さんのすごいところは、全てにおいて本気で取り組み、心身ともに大変な状況でも常に笑顔で前向きな姿勢を貫いているところでした!

正直、SPIRITUAL LOUNGE復活に向けて、大変で諦めそうになったことは?

安:通常の業務をこなしながら、同時に大学院にも通ってMBA取得を目指すっていうのは、正直かなり大変でした。
でも、「SPIRITUAL LOUNGEを復活させたい」っていう強い想いが常にあったので、つらさよりもやりがいの方が勝ってましたね。

無事に大学院を卒業して、札幌支社を立ち上げることができました。
そこからは、ライブハウスの設立に向けて、毎日あれこれ試行錯誤しながら準備を進めてきた感じです。

そして、何より大きかったのは、「一緒に作ろう」と本気で動いてくれる仲間がいてくれたこと。
その存在があったから、ここまで続けてこられたんだと思います。


3.再始動の裏側——今がいちばん大変だけど、いちばん熱い



前:今回、満を持してSPIRITUAL LOUNGE復活に向けての準備が進んでいますが、今どのような状況ですか?

安:2025年5月31日(土)のオープンに向けて、一部を業者の方にお願いし、大部分は札幌支社メンバーでDIYしながらライブハウスの準備中です。
とにかく準備が大変ですね。MBA時代よりも忙しいかもしれない‥‥!笑
でも、みんながいてくれるから何とかやれてます。一人だったら絶対に無理でした。




前:再スタートするSPIRITUAL LOUNGE、今後どういう場にしていきたいですか?

安:まずはしっかりとライブハウスとして軌道に乗せること。
その上で、札幌全体の音楽シーンを盛り上げていけたらと思っています。
うちだけが盛り上がっても意味がない。
他のライブハウスとも連携しながら、ライブハウス・音楽業界全体にもっと良い流れを作っていきたいです!


4.音楽シーンの課題と展望——若者と道外バンドをどう巻き込むか



前:札幌の音楽業界が抱える課題について、どのように感じていますか?

安:まずバンドの数自体が減っていること、それと道外のバンドが北海道に来づらいことですね。
距離もあるし、コストもかかるし。
ただ、それでも「SPIRITUAL LOUNGEが呼んでくれるなら行きたい!」と思ってもらえるような信頼される場所にしていきたい。
その為に、なるべく良い条件でバンドを呼べるように努力していきたいです。




そして、もっと気軽に音楽に触れられる環境を整えて、若者のバンド活動をサポートしていきたいと思っています。


5.たまり場であり、登竜門でもある場所へ



前:SPIRITUAL LOUNGEは、以前どんな場所だったと思いますか?

安:「たまり場」って言葉が一番しっくりきますね。
お金がなくても、行き場がなくても、バンドマンたちが集まれる場所。
中には、ライブに出ないのに打ち上げだけ来る人もいたくらいで。笑

でも、自分はそういう場所こそ必要だと思うんです。

仕事もバンドもそうですけど、ただ業務をこなすとか、ライブをやるだけだと、なかなか自然に仲良くなるって難しいと思うんですよね。
お酒飲みながらいろんな話をしたり、ときには本気でぶつかり合ったりして、そうやって少しずつ信頼関係ができていく。

今はバンドの数自体も少なくなってきている中で、音楽が好きな人たちが気軽に来られて、「あーでもない、こーでもない」って語り合えるような場所は、ライブハウス文化を守っていくうえでもすごく大事だと感じています。




前:なるほど。
最後に、これからの新生SPIRITUAL LOUNGEは、どんな存在にしていきたいですか?

安:登竜門のような場所でありつつも、もっと洗練された、北海道だけでなく全国のアーティストが集まれるようなライブハウスにしたいですね。

東京で学んだことも活かして、誰もが気持ちよく演奏できる環境を作っていきたいです!


6.最後に



安:SPIRITUAL LOUNGEは、2025年5月31日(土)に再始動します!
当日はこけら落とし公演を予定しており、ありがたいことにチケットはすでに完売。
多くの方々がSPIRITUAL LOUNGEの復活を楽しみにしてくれていたんだなと、改めて実感しています。

大学院時代に、IT事業とライブハウス事業を掛け合わせつつ、もっと地域の人に親しんでもらえる営業形態のようなものを研究していたので、この研究をベースに色々展開していこうと考えています!
まずは、予約管理やチケット販売ができるアプリの開発を目指しています。
自分たちのライブハウスで導入テストが成功した際は、他のライブハウスにも広げていき、ライブハウス運営をより効率化していきたいです。

前:SPIRITUAL LOUNGEの今後が楽しみです!安食さん、ありがとうございました。


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