ノーコード × 生成AI『Dify』の何がすごい?現役エンジニアがDifyの魅力を徹底解説!

2025年07月11日


こんにちは!
エンジニアの中田裕貴です。

今回は、技術系ブログの初回記事として、LLM(大規模言語モデル)の社内導入事例について、ご紹介していきたいと思います。

技術的な話題はもちろん、「どんなツールを使ったの?」「どんなふうに活用しているの?」「実際の使い心地や課題は?」といったリアルな体験談を交えながらお伝えしていきます!



 

🔖 目次

 
1. Difyとは?

2. なぜDifyを導入したのか?

3. 実際に導入して社内に公開してみた

4. 導入してみた感想

5. 今後の想いと挑戦

6. 最後に

 


1. Difyとは?



私が社内で初めて導入したツール、それが 「Dify(ディファイ)」 です。
皆さんは「Dify」をご存じでしょうか?

Difyは、専門的なプログラミングの知識がなくても、GUI(画面上の操作)だけでAIアプリを開発・運用できる、革新的なオープンソースプラットフォームです。

たとえば、チャットボットのようなAIアプリを、ブロックを組み立てるようにポチポチ操作するだけで、誰でも簡単に作ることができます!
専門的なコードを書かなくても、直感的なインターフェースでAIを活用できるのが大きな魅力です。



※この画像は、IPA(情報処理推進機構)の「安全なウェブサイト運営にむけて」というPDF資料をDifyに読み込ませた際の画面です。 


このツールでは、GPT-4(ChatGPTで使われているAI)やGoogleのGemini、Claude(クロード)など、いろいろな頭のいいAIを選んで使うことができます。
「どのAIを使うか」を自分で選びながら、チャットボットなどを自由に作れるのが特徴です!
Difyの特徴は主に4つあります。 

 
① プログラミング不要でアプリが作れる!
GUI上でポチポチと操作するだけで、自分だけのAIアプリを簡単に作成できます。
コードが書けなくても、すぐにAIの力を活用できます。

② 豊富なテンプレート!
「チャットボット」や「テキスト生成アプリ」、今話題の「DeepSearch」など、多彩なテンプレートが多数用意されています。
ベースをもとにカスタマイズしていくのも簡単で、短時間で実用的なアプリを構築可能です。

③ 多様な外部サービスとの連携
Google検索やSlack、DALL-E、Stable Diffusionなどの外部ツールと組み合わせることで、より高度で便利なアプリケーションを作成できます。


④RAG(Retrieval-Augmented Generation)にも対応
自分が用意したPDFやテキストファイルをナレッジとして読み込ませることで、その情報をもとにより的確な回答を生成してくれるのがRAG技術。
DifyではこのRAGの仕組みを、GUIベースで手軽に構築できます

 
このように、Difyは「簡単に使える」のに「高機能」な、実用性と柔軟性を兼ね備えたツールなんです! 



 

2. なぜDifyを導入したのか?



 こちらのブログでご紹介したように、私は2019年頃から、AI・機械学習技術に関心を持ち始め、社内でAIや機械学習を勉強してきました。

📌 生成AIの活用事例|最先端を学ぶエンジニアが "今" 発信を始める理由
https://www.vitalize.co.jp/blogs/278


現在は、LLMや機械学習を活用したシステム開発案件に携わっており、並行して北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)で、機械学習や情報科学の研究活動も行っています。

そんな私の性格はというと・・・実は「めんどくさがり屋」なんです。
だからこそ、システムによる自動化や「よしなにやってくれる仕組み」には、昔から強く惹かれてきました。

もともと私は経営学専攻で、簡単な統計を知っている程度の非理系でしたが、AI・機械学習を学びたいという気持ちが強く、線形代数、確率統計、微積分といった数学を独学で学びつつ、機械学習の専門書にも挑戦してきました。

その後、ありがたいことに、徐々に仕事の中にもAI・機械学習を徐々に取り入れられるようになり、2022年末のChatGPT登場をきっかけに、LLMが急速に普及し始めたことを受け、「これは追いつかねば」と本格的に勉強を始めました。
東京大学・松尾研究室の講義を受講したり、LLM関連の書籍を読み漁ったりしながら知識を深め、「実際に何かを作ってみよう!」と、DifyというLLMアプリ開発ツールを自ら構築・検証。
社内での活用可能性を感じて展開を進めました。 



 

3. 実際に導入して社内に公開してみた

 

ここからは、実際にDifyを使って社内でどのような仕組みを構築・公開したのかをご紹介します。
ちなみに、社内で公開した時はこんな感じで、メンバーへ告知しました。




 
今回は、以下の2つの機能を社内向けに公開してみました!
1つ目は社内ルールに関するチャットボット、2つ目はSlack(社内チャット)との連携機能です。 

 

a. 社内ルールチャットボットとは?


「交通費ってどうやって精算するんだっけ?」とか「有給休暇って何日前までに申請すればいいんだっけ?」といった、ちょっとした社内ルールの疑問ってどの会社でもありますよね。
それが、このチャットボットに質問すると、すぐにルールを教えてくれるんです!

たとえば、「交通費の精算方法を教えてください」と聞くと、「社内ポータルの精算機能を使って、3営業日以内に申請してください」といった、具体的な回答を返してくれます。

このチャットボットには、社内ルールをまとめた資料を読み込ませていて、その情報をもとに自動で答えてくれる仕組みになっています。
よくある質問にすばやく答えてくれるので、業務のちょっとしたストレスも減らせます!
社員からの重複した質問が少なくなり、全体としての負担も軽減されて、みんなに好評でした! 



b. Slackとの連携機能とは?


Slackというチャットツールの中でもDifyは活躍してくれます!
例えば、長いやり取りが続いたスレッドの内容を自動で要約したり、特定の話題について深掘りしてまとめてくれたりします。
忙しい時でも、チャットの内容をサクッとキャッチアップできるので、とても便利です!




 

c. Difyの導入方法は2通り!


Difyには、次の2つの使い方があります。


① クラウド版(公式サイトに登録してすぐ使える)
公式サイトにアクセスしてアカウントを作成すれば、すぐにDifyを使い始めることができます。
GUIベースで直感的に操作できるので、初めての方にもおすすめです。

② 自分たちのサーバーに入れて使う「自社ホスティング版(オープンソース)」
Difyはオープンソースで提供されているため、自分たちのサーバー環境に構築して使うことも可能です。
機密性の高いデータを扱いたい場合や、社内向けにカスタマイズしたい場合にはこちらが適しています。

今回はセキュリティ面を考慮して、②のAWS上へのホスティング構成を採用。
アクセス制限もかけ、社内メンバーだけが使えるようにしました。 

 

d. RAG構築にもチャレンジ!


さらに、社内資料を活用してAIが答える「RAG(ラグ)」システムにも挑戦しました。

通常、RAGを実装するには、チャンキングを行ったり、専用のデータベースを用意したりと、少し専門的な作業が必要です。
ですがDifyなら、これらを自動でやってくれるので、簡単にRAGを動かせました!

実際にRAGシステムを動かしてみると、期待通りの出力を得るにはまだ改善の余地があると感じました。
うまく答えてくれることもあれば、意図と違う回答になることも。
より正確にするには、検索の工夫やAIの再学習など、さらなる調整が必要だと感じました。

今後は、RAGの精度を向上させるための調整を継続的に行い、入社したばかりの社員でも、困ったときにすぐ頼れるような、「社内の知恵袋」的チャットボットを目指して取り組んでいく予定です。

詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。 



 

4. 導入してみた感想


実際にDifyを使ってみて感じたのは、本当に簡単にAIアプリが作れる。ということです。
ワークフローの設計やRAGも、GU操作だけで非常に簡単に作成できました。
使い勝手も直感的で使いやすかったです。

一方で、社内でどれくらい活用されているのか?というと、まだまだ改善の余地がありそうです。
一部のメンバーは使ってくれているようですが、頻度はそこまで多くなく、私自身もSlackと連携させたチャット要約機能を週に1~2回使っているくらいです。

Difyも、RAGの精度が高くなり、かつ「誰でも・すぐに・アクセスできる」状態にしておけば、もっと活用されるようになるかもしれません。

ただ現状では、何か分からないことがあったとき、「AIに聞く」より先に「同僚や先輩に聞く」という選択が多いので、そこが自然に変わるような価値が必要だなと感じています。
一方で、資料の量が多い企業や、プロジェクトで特定の資料を探し出すのに毎回手間がかかるなどの課題感がある環境なら、RAGを活用したAIチャットボットはかなり効果を発揮しそうです! 




5. 今後の想いと挑戦


今後は、より業務に特化したAIエージェントを開発したいと思っています。
その一つが、AWSの「Amazon Bedrock」です。
AWSは、各種サービスとの親和性が高く、セキュアな環境を構築しやすいという点で、多くの企業で採用されています。
そのため、AWSの各種サービスと連携しやすいAmazon Bedrockは、業務利用を前提としたAIエージェント開発において、選定される優先度が今後も高くなるのではないかと思います。

現在、社内では、案件のアサインメントに関する複雑な調整を、役員の田中隆治さんが担ってくれています。
ただ、これからさらに社員や案件数が増えていくと、この作業の負荷も確実に高まっていくはずです。
そこで、「アサインメント業務を支援するAIエージェントをBedrockで作れないか?」と考えるようになりました。

具体的には、過去のプロジェクト実績、社員のスキルセット、プロジェクトの要件などを学習データとしてAIエージェントに学習させ、最適な人材アサインメント案を自動的に提案できるようなシステムを構想しています。
今はこんな感じのことをBedrockを使ってやろうと思ってます。 




 
▪ アサイン相談機能

 

構築前の今の時点でも、「これは精度高く、実現するのは正直かなり難しそうだな…」という感覚があります。
それでも、これが実現できれば確実に助かる人がいるという確信もあって、なんとか形にしたいと意気込んでいます! 



 

6. 最後に

 
初となる技術ブログの第一弾は、「DifyやLLMの導入・活用」について、ご紹介しました!
少しでも「面白そう」「やってみたい」と感じてもらえたら嬉しいです。
そしてもし、 「中田と一緒に働いてみたい!」 「Vitalizeって面白そう!」 そんなふうに思っていただけた方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。
まずはカジュアルに、お話しできるのを楽しみにしています!

次回の技術ブログもどうぞお楽しみに!